「玄関ドアが勢いよく閉まるようになってしまった」「ドアクローザーから油が漏れている」……。
毎日使う扉の不具合は、生活のストレスになるだけでなく、思わぬ怪我や事故につながる危険性もあります。
修理や交換を検討する際、まず重要になるのが「現在取り付けられているドアクローザーのメーカーや型番を正しく特定すること」です。しかし、ドアクローザーには数多くのメーカーが存在し、すでに廃盤になっている製品も少なくありません。
この記事では、プロの修理業者である私たちが、ドアクローザー交換時に必ずチェックすべき「主要メーカー」や、住まいの安全を守るために知っておきたい「公的機関・関連団体」の情報を完全網羅しました。信頼できる公式サイトの情報に基づき、正しい知識を身につけましょう。
目次
ドアクローザーのメーカー特定が重要な理由
ドアクローザーは、一見するとどれも同じような銀色の箱に見えるかもしれません。ホームセンターやネット通販で「汎用品」と書かれたものを買えばなんとかなる、と考える方も多いのですが、実はここに大きな落とし穴があります。
適合しない製品を取り付けるリスク
ドアクローザーは、メーカーや型番によって「ネジ穴の位置(ピッチ)」「アームの長さ」「ブラケットの形状」「対応するドアの重量」がすべて異なります。もし、規格の合わない製品を無理に取り付けようとすると、以下のようなトラブルが発生します。
- 新たな穴開け加工が必要になる: 鉄製のドアにドリルで正確な穴を開けるのは、一般の方には非常に難易度が高い作業です。
- ドアが閉まらなくなる: アームのリンク機構がうまく動作せず、ドアが枠に当たったり、閉まりきらなくなったりします。
- 強度の低下: 無理な取り付けはネジ穴を傷め、最悪の場合、本体が落下してくる危険性があります。
そのため、まずは「今ついている製品を作ったのはどのメーカーか?」を知ることが、修理成功への第一歩なのです。以下に紹介する主要メーカーの公式サイトには、製品図面や識別方法などの貴重な情報が掲載されています。
国内シェアを支える!ドアクローザー3大メーカーとその特徴
日本の住宅やオフィスで使用されているドアクローザーの多くは、以下の3つのメーカー(ブランド)によって製造されています。ご自宅のドアクローザー本体の側面や裏側を見て、ロゴマークが刻印されていないか確認しながら読み進めてください。
1. 日本ドアーチエック製造株式会社(ブランド名:NEWSTAR / ニュースター)
「ニュースター(NEWSTAR)」のブランド名で知られる日本ドアーチエック製造は、大正8年創業という非常に長い歴史を持つ、日本を代表するドアクローザーメーカーです。
マンションの玄関ドアからオフィスの重たい鉄扉まで、幅広く採用されており、おそらく日本で最も多く目にするブランドの一つでしょう。特に「P-182」や「P-83」といった型番は、何十年もの間、交換用機種のスタンダードとして君臨しています。
同社の公式サイトでは、最新の製品カタログだけでなく、機能解説や調整方法などの技術情報も公開されています。製品の信頼性は折り紙付きです。
公式サイト・参考リンク:
日本ドアーチエック製造株式会社(NEWSTAR)
2. 京セラ インダストリアルツールズ(旧:リョービ / RYOBI)
DIY好きの方なら電動工具でおなじみの「リョービ(RYOBI)」ブランド。実はドアクローザーの分野でもトップクラスのシェアを誇ります。
※2018年より、リョービのパワーツール事業(ドアクローザー含む)は京セラグループへと移管されましたが、「RYOBI」ブランドの製品は現在も広く流通しており、多くのご家庭で愛用されています。
リョービ製のドアクローザーは、耐久性の高さと、一般の方でも交換しやすい「取替用ドアクローザー」のラインナップが充実している点が特徴です。ご自宅のドアクローザーに「RYOBI」の刻印があれば、こちらの情報を参照するのが確実です。
公式サイト・参考リンク:
京セラ インダストリアルツールズ(RYOBIブランド)
3. 美和ロック株式会社(MIWA)
「カギのMIWA」として誰もが知る、日本最大の鍵・錠前メーカーです。かつてはドアクローザーの製造・販売も手掛けており、特に公団住宅や古いマンションなどで「MIWA」と刻印されたドアクローザーをよく見かけます(KM313、M600シリーズなど)。
【重要】現在、美和ロックはドアクローザー事業から撤退・廃止しています。
そのため、現在MIWA製のドアクローザーがついている場合、全く同じ新品に交換することはできません。修理や交換には、他メーカー(リョービやニュースターなど)から出ている「交換対応機種」を選定する必要があります。
事業は終了していますが、既存の鍵製品やドア周りのセキュリティに関する信頼性は依然として業界トップです。
公式サイト・参考リンク:
美和ロック株式会社(MIWA)
玄関ドア・サッシ・鍵の関連メーカー(交換時の注意点)
ドアクローザー単体のメーカーではなく、玄関ドアやサッシ(枠)、鍵のメーカーロゴが手がかりになることもあります。これらのメーカーは、ドア全体をトータルで設計しており、メンテナンス情報も充実しています。
4. 株式会社LIXIL(リクシル)
トステム(TOSTEM)、新日軽、INAXなどの有名ブランドが統合して生まれた、住宅設備機器・建材の最大手メーカーです。
玄関ドアごとの交換やリフォームを検討される際、LIXIL製品が採用されるケースは非常に多いです。ドアクローザーも、LIXIL(旧トステム)のドア専用に設計されたOEM品がついていることが多く、その場合は純正部品の手配が必要になることもあります。
公式サイト・参考リンク:
株式会社LIXIL(リクシル)
5. YKK AP株式会社
「窓とドア」の専門メーカーとして、高い断熱性能や防犯性能を持つ製品を世に送り出しています。
YKK APのウェブサイトには「メンテナンス・お手入れ」のコーナーがあり、ドアクローザーの調整方法(閉まるスピードの変更方法など)が図解付きで非常に丁寧に解説されています。「ドアがバタンと閉まる」などの症状が出た際、まずは公式サイトのお手入れ情報を確認してみることをおすすめします。
公式サイト・参考リンク:
YKK AP株式会社
6. 株式会社ゴール(GOAL)
「鍵のGOAL」として、MIWAと並び称される錠前の老舗メーカーです。特に関西圏でのシェアが高く、高品質な鍵やドア周りの金具を提供しています。
V18シリンダーなどの防犯性の高い鍵で有名ですが、ドア周りの金物全般において高い技術力を持っています。ご自宅の鍵に「GOAL」の刻印がある場合、ドア周りの仕様を確認する際の目安になります。
公式サイト・参考リンク:
株式会社ゴール(GOAL)
業界団体・公的機関が発信する「安全」と「トラブル回避」の情報
ドアクローザーの故障は、単に不便なだけでなく、家族の安全に関わる重大な問題です。また、修理を依頼する際には、悪質な業者によるトラブルにも注意が必要です。ここでは、信頼できる公的機関や業界団体の情報を紹介します。
7. 一般社団法人 日本サッシ協会
サッシ(窓枠・ドア枠)やカーテンウォールなどの建築用構成材を扱う企業の業界団体です。
サッシやドアの正しい使い方、メンテナンスの重要性について啓発を行っています。業界全体の技術標準や安全基準を知る上で、最も権威のある団体の一つと言えます。
公式サイト・参考リンク:
一般社団法人 日本サッシ協会
8. 消費者庁(事故情報データバンク)
ドアクローザーの油漏れや調整不良を放置すると、ドアが急激に閉まり、指を挟むなどの大事故につながる恐れがあります。
消費者庁では、家庭内で起きた事故情報を収集・公開しており、ドアに関する注意喚起も行われています。特に小さなお子様や高齢者のいるご家庭では、こうした事故情報を事前に知り、対策(ドアクローザーの定期的な点検・交換)を行うことが重要です。
公式サイト・参考リンク:
消費者庁
9. 独立行政法人 国民生活センター
「鍵の修理を頼んだら高額な請求をされた」「直っていないのに料金を取られた」といった、暮らしのレスキューサービスに関するトラブル相談が寄せられています。
国民生活センターのサイトでは、こうした消費者トラブルの事例や、信頼できる業者の選び方についてのアドバイスが掲載されています。私たちカチャット扉は、お客様に安心してご利用いただけるよう、明朗会計と事前見積もりを徹底していますが、業者選びに不安がある方は一度目を通しておくと良いでしょう。
公式サイト・参考リンク:
独立行政法人 国民生活センター
10. 国土交通省(住宅局)
日本の住宅・建築行政を司る省庁です。
建築基準法に基づくドアの設置基準や、バリアフリーリフォーム(ドアを開けやすくする改修など)に関する補助金制度などの情報を発信しています。大規模な修繕やリフォームを伴うドア交換を行う場合、国の制度が利用できるケースもありますので、確認してみる価値があります。
公式サイト・参考リンク:
国土交通省
まとめ:正しい知識で安全な扉環境を
ここまで、ドアクローザーに関連する主要メーカーや公的機関の情報を紹介してきました。
ドアクローザーは「消耗品」です。油漏れや異音、閉まる速度の異常は寿命のサインであり、放置すればするほど危険性が高まります。
今回ご紹介したメーカーの公式サイトを確認し、ご自宅のドアクローザーがどのタイプか調べることは非常に有意義ですが、もし以下のような状況であれば、無理をせずプロにご相談ください。
- メーカー名や型番がどうしても判別できない(塗装で塗りつぶされている等)
- MIWA製など、すでに廃盤になっている機種がついている
- 取り付けネジが錆びついて回らない
- 自分で交換部品を買ってみたが、サイズが合わなかった
「カチャット扉」では、豊富な在庫と専門知識を持ったスタッフが、あらゆるメーカーのドアクローザーに対応いたします。「うちのドアにはどの部品が合うの?」といったご質問だけでも大歓迎です。まずは一度、お気軽にお問い合わせください。
執筆者: 藤田


