ドアクローザー調整でも閉まらない！原因診断と自分で直す全手順

ドアクローザー調整でも閉まらない？原因と解決法を徹底解説

こんにちは。カチャット扉、運営者の「藤田」です。玄関ドアがカチッと心地よい音を立てて閉まる。当たり前のことのようですが、毎日使う場所だからこそ、ほんの少しの不具合が大きなストレスになりますよね。「ドアクローザー 調整 閉まらない」と検索されたあなたは、きっと開いたまま止まってしまうドアや、逆にバタンと大きな音を立てて閉まるドアにお困りなのではないでしょうか。あるいは、リョービやニュースターといったメーカーの調整方法を知りたい、ラッチが固くて閉まらない、寿命や油漏れが心配、といった具体的な疑問をお持ちかも知れません。また、賃貸やマンションでの交換ルールや、業者に頼んだ場合の費用についても気になるところですよね。実はドアクローザーは、非常に精密な油圧機器です。正しい知識がないまま調整ネジを回しすぎると、故障の原因になることもあります。

• 調整だけで直る症状なのか、それとも寿命による交換が必要なのかを自分で診断できるようになります
• 高気密住宅ならではの「室内負圧」や強風など、見落としがちな環境要因への対策がわかります
• リョービやニュースターなど主要メーカーの正しい速度調整方法と、やってはいけないNG行動を学べます
• 賃貸やマンションでの交換における注意点や、プロに依頼した際の適正な費用相場を把握できます

ドアクローザー調整でも閉まらない原因の特定

「ドアが閉まらない」という現象に直面したとき、多くの人がいきなりプラスドライバーを手に取って調整ネジを回そうとします。しかし、ちょっと待ってください。実は、ネジを回す前に確認すべきポイントがいくつかあります。原因を特定せずに闇雲に調整を行うと、状況が悪化するだけでなく、最悪の場合は油漏れを引き起こしてドアクローザーを壊してしまうこともあります。ここでは、プロが現場で行っている診断フローに基づいて、あなたのドアが「なぜ閉まらないのか」を論理的に突き止めていきましょう。原因は大きく分けて「機械的な寿命」「環境的な要因」「調整不足」の3つです。

油漏れや寿命か確認する診断ポイント

まず最初に疑うべきは、ドアクローザー本体の「寿命」です。ドアクローザーは、金属の箱の中に粘度の高い特殊なオイルが充填されており、そのオイルが小さな穴を通過する抵抗を利用して、強力なバネの戻る力を制御しています。つまり、オイルこそがブレーキの役割を果たしているのです。

脚立などを使って、ドアクローザー本体をよく観察してみてください。もし、本体のアーム取り付け部分や、側面の調整ネジ周辺から黒っぽい油が滲み出していたり、油が滴って床にシミを作っていたりする場合、それは決定的な「寿命」のサインです。

一般的にドアクローザーの耐用年数は10年〜15年、開閉回数にして約20万回〜30万回と言われています。もし設置から15年以上経過していて、ドアの閉まる速度が安定しない、調整してもすぐに狂う、異音がするといった症状がある場合は、内部のスプリングやギアが摩耗している可能性が高いです。「まだ使えるかも」と粘るよりも、安全のために新品へ交換することを強くおすすめします。

もし異音が聞こえる場合や、緊急時の対処法については、以下の記事でさらに詳しく解説していますので、合わせてご確認ください。

ドアクローザー異音は「崩壊」のサイン？爆音・急加速を今すぐ止める緊急停止マニュアル

室内負圧や強風が影響するケース

「ドアクローザーは新品同様だし、油漏れもない。でも閉まらない」。そんな時に犯人として浮上するのが、目に見えない「空気の力」です。特に、最近の高気密・高断熱住宅（マンション含む）にお住まいの方から非常に多くの相談をいただきます。

現代の住宅は、隙間風が入らないように非常に密閉性が高く作られています。この状態で、キッチンの強力なレンジフードや24時間換気システムが作動すると、室内の空気が外に排気され、家の中の気圧が下がります（負圧）。すると、家全体が大きな掃除機のように外気を吸い込もうとする力が働きます。

玄関ドアは面積が大きいため、この「吸い込む力」をもろに受けます。一見すると、外開きドアなら室内側に吸われる力は閉まる方向のアシストになりそうですが、実際は逆効果になることが多いのです。ドア全体が枠に強く吸い寄せられることで、ラッチボルト（鍵の三角部分）がストライク（受け座）の側面に強く押し付けられ、摩擦抵抗が激増します。さらに、気密パッキンの反発力と負圧の吸引力が拮抗し、ドアクローザーのバネの力が負けてしまい、閉まる直前で止まってしまうのです。

この場合、ドアクローザーを調整して閉まる力を無理やり強めると、今度は「バタン！」という騒音に悩まされることになります。正解は、壁にある給気口（レジスター）を開けて空気の取り入れ口を確保するか、換気扇使用時は少し窓を開ける運用にすることです。

リョービ等のメーカー別調整方法

寿命でも環境要因でもない場合、いよいよ「速度調整」の出番です。ドアクローザーの調整は、基本的に本体側面にある「調整弁（ニードルバルブ）」を回して行います。日本国内では「RYOBI（リョービ）」「NEW STAR（ニュースター）」などが主流ですが、メーカーや機種によってネジの配置や役割が異なります。

調整を行う上で理解しておきたいのが「速度区間」です。
第1速度： ドアが全開の状態から、閉まる手前（約30度くらい）までのスピード。
第2速度： ドアが閉まる手前（約30度〜2度）のスピード。ここで減速して指挟みを防ぎます。
ラッチングアクション： ドアが枠に触れる寸前（約2度〜0度）の区間。ここでグッと力を入れてラッチを押し込みます。

「閉まらない」トラブルの大半は、この「第2速度」が遅すぎて勢いが足りないか、「ラッチングアクション」の設定が弱すぎることが原因です。ご自宅のドアクローザーの刻印を確認し、どのネジがどの区間を担当しているかを把握しましょう。

速度調整弁の回し方と注意点

それでは実際に調整を行ってみましょう。用意するのはプラスドライバー（機種によってはマイナスドライバー）1本です。ただし、この作業には非常に繊細な感覚が求められます。ドアクローザーの調整弁は、水道の蛇口のようにグルグル回すものではありません。ほんの数ミリ回すだけで、内部のオイル流量が変化し、ドアの動きが激変します。

【基本ルール】

• 時計回り（右に回す）： 閉まる速度が遅く（重く）なります。
• 反時計回り（左に回す）： 閉まる速度が速く（軽く）なります。

ドアが閉まらない場合は、第2速度またはラッチングアクションのネジを「反時計回り（左）」に回して、閉まる勢いを少しだけ強くしてあげます。

そして、絶対に守っていただきたい注意点があります。

（出典：リョービ株式会社『速度の調整方法』https://www.ryobi-group.co.jp/builder/knowledge/doorcloser/adjustment/01.html）

ラッチが固い場合の注油と対策

ドアクローザーの設定は完璧なのに、なぜか「カチャン」といかず、ドアが跳ね返される…。そんな時は、ドアクローザーではなく、ドアの側面にある「ラッチボルト（三角形の出っ張り）」を疑ってください。ラッチボルトは、ドアが閉まる瞬間にストライク（枠側の穴）に収まることでロックを掛ける重要な部品です。ここの滑りが悪いと、ドアクローザーがどれだけ押しても抵抗に負けてしまいます。

長年の使用で金属粉が溜まっていたり、サビが出ていたりすると動きが渋くなります。この場合、潤滑剤を塗布して滑りを良くするのですが、使うケミカルの種類には細心の注意が必要です。

多くの人がやりがちな間違いが、自転車や機械に使う「KURE 5-56」などの油系潤滑剤を大量に吹き付けることです。これは絶対にNGです。油分を含んだ潤滑剤は、吹き付けた直後は滑りが良くなりますが、時間が経つと空気中のホコリや砂埃を吸着し、黒いネバネバした汚れ（スラッジ）となって内部に固着します。結果として、さらに動きが悪くなり、最悪の場合は鍵屋を呼んで錠前ケースごと交換することになります。

ドアクローザー調整で閉まらない際の交換と費用

「油漏れしている」「調整ネジを限界まで回してもスカスカ」「異音が止まらない」。これらの症状がある場合、残念ながらそのドアクローザーは役目を終えています。これ以上いじくり回しても時間の無駄であり、指挟みなどの事故リスクを高めるだけです。ここからは、いざ交換を決意した時に直面する「機種選定の難しさ」や「費用対効果」、そして「自分でやるかプロに頼むか」の判断基準について、包み隠さず解説します。

ニュースターなど適合機種の選定

ドアクローザーの交換において、最大の難関は「今ついているものと同じ製品を見つけること」です。多くの人が「メーカー名（RYOBIなど）」と「型番のような数字」さえ分かればAmazonで買えると思っていますが、現実はそう甘くありません。

ドアクローザーには、同じ型番に見えても、取り付け金具（ブラケット）の形状やネジ穴の位置（ビスピッチ）が微妙に異なる数千種類のバリエーションが存在します。特に、古いマンションや戸建てについている製品は、すでに廃盤になっているケースが大半です。全く同じものを探そうとすると、専門業者でも数日かかることがあります。

そこで強い味方となるのが、各メーカーから販売されている「取替用（万能型）」と呼ばれるユニバーサルモデルです（例：リョービ S-202Pなど）。この製品の最大の特徴は、背面の取り付け板（フリーアジャストブラケット）がスライド式になっており、既存のドアに残っているネジ穴をそのまま利用して固定できる点です。これにより、ドリルで新たに穴を開けるという難易度の高い作業を回避できます。

【適合機種を選ぶためのチェックリスト】

1. ドアのタイプ： 玄関ドア（アルミ・鉄製）か、室内ドア（木製）か？重量によって適合ランクが異なります。
2. 取り付け方式：
   • パラレル型： ドアが開く方向と反対側に本体が付いている（アームがドアと平行に畳まれる）。日本の玄関ドアの9割はこれ。
   • スタンダード型： ドアが開く側に本体が付いている（アームが手前に出っ張る）。
3. 既存のネジ穴の位置： 定規で縦横のネジ間隔を測っておくと、万能型が適合するか判断しやすくなります。

引き戸のクローザーについては構造が全く異なるため、以下の記事を参考にしてください。

引き戸用ドアクローザーの相場はウソ？業者の裏側を知り実質1/10価格で導入する全手順

自分で交換か業者に依頼かの判断

DIYが得意な方なら「自分で交換して費用を浮かせたい」と考えるのは当然です。実際、適合する「取替用」キットを入手できれば、ドライバー1本で交換することも可能です。しかし、ドアクローザー交換には特有のリスクも伴います。

【DIYで交換しても良いケース】

• 「取替用（万能型）」が確実に適合すると判断できた場合： 既存の穴を使えるなら、作業は大幅に楽になります。
• 電動ドライバー（インパクトドライバー等）を持っている： 手回しドライバーだけでは、固着した古いネジを外すのに苦労し、最悪の場合ネジ山を潰してしまいます。
• 脚立作業に慣れている： 上を向いての作業は想像以上に体力を消耗し、重量のある本体を支える腕力も必要です。

【プロに依頼すべきケース】

• 適合機種が全くわからない： 間違って購入すると、開封済み商品は返品できないため1万円前後の損失です。
• ネジが錆びついて回らない、またはネジ穴がバカになっている： こうなると、タップを切ってネジ穴を作り直すなどの高度な加工が必要になります。
• ドア自体の建て付けが悪い： ドアが傾いて枠に擦っている場合、クローザーだけ新品にしても直りません。丁番の調整も含めてプロに任せるべきです。

DIYでの失敗リスクや、必要な工具の詳細については、以下の記事でさらに深掘りしています。

ドアクローザー交換のDIY対業者｜費用相場と失敗しない選び方【賃貸OK】

修理や交換にかかる費用の相場

「プロに頼むと高いんじゃないか？」という不安は誰にでもあります。しかし、適正価格（相場）を知っていれば、法外な請求をする悪徳業者を回避し、納得して依頼することができます。ここでは、2024年現在の一般的な市場価格をお伝えします。

「調整だけで1万円も？」と思われるかもしれません。しかし、サービスマンが車両で移動し、専門知識を持って診断・調整を行う人件費と拘束時間を考えれば、これは正当な対価です。逆に言えば、もし本体が寿命を迎えているなら、調整に1万円払うよりも、プラス1.5万円〜2万円出して新品に交換してしまった方が、今後15年の安心を買えるという意味で圧倒的にコスパが良いと言えます。

業者に見積もりを取る際の「ぼったくり回避テクニック」については、こちらの記事も参考にしてください。

ドアクローザー修理の相場はウソ？適正価格の計算式と「3つの見積もり」でぼったくりを防ぐ全手順

マンションや賃貸での交換注意点

最後に、集合住宅にお住まいの方が絶対に知っておくべき「ルール」について触れておきます。特に分譲マンションの場合、玄関ドアの内側は「専有部分（自分のもの）」ですが、外側やドアクローザー本体は「共用部分（みんなのもの）」と管理規約で定められているケースが一般的です。

また、団地や一部のマンションでは「BL認定品（ベターリビング）」という、品質保証マークが付いた特定のドアクローザーの使用が義務付けられている場合があります。さらに、火災時の延焼を防ぐ「防火戸」としての認定を受けているドアの場合、勝手にホームセンターで買ってきた汎用品を取り付けると、建築基準法や消防法上の認定から外れてしまうリスクさえあります。

ドアクローザー調整で閉まらない解決策まとめ

ドアクローザーの不具合は、毎日の生活に地味ながら確実なストレスを与え続けます。今回ご紹介したように、まずは「油漏れの有無」を目視確認し、「換気扇を止めてみる」という環境テストを行ってください。これらがシロであれば、記事で解説した手順に従って「調整弁の微調整」や「ラッチへのシリコンスプレー塗布」を試してみてください。

ただし、無理は禁物です。ネジを回しすぎてオイルを噴出させたり、合わない部品を無理やり取り付けようとしてドアを傷つけたりしては本末転倒です。「これは寿命だな」「自分にはハードルが高いな」と感じたら、プロに依頼することも立派な解決策の一つです。愛車のメンテナンスを信頼できるメカニックに任せるように、家のドアも専門家の手を借りて、安全で快適な「カチャッ」という音を取り戻しましょう。

※本記事の情報は一般的な目安であり、製品や設置環境により状況は異なります。正確な情報は各メーカーの公式サイトをご確認ください。また、作業に不安がある場合は無理をせず、専門業者へご相談ください。